2016年08月16日

芯禄を授かる

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8月上旬、東京・根津のGallery MARUHIで開催された、伊藤清泉さんの個展「芯禄/SINROKU」へ足を運びました。根津神社近く、藍染大通りから小径を入っていくと、昔は質屋だったらしい古民家を改装した、趣のある建物にたどりつきました。主催者は、Star Poets Galleryの今村仁美さんで、この展覧会を開催するために、清泉さんの作風に合うギャラリーを都内中探し回ったとのことでした。表の看板から室内の設えまで、作品の持つ雰囲気と本当に良く調和していて、空間が作品を引き立てていました。

清泉さんの作品を初めて目にしたのは、2007年でした。曼荼羅や観音、花鳥といった、東洋、日本的なモチーフが、エアブラシや墨で幾色も重ねられた背景に、直線や円、幾何学的な形とクロスオーバーするように描かれていて、圧倒的な個性と存在感を放っていました。当時の私は、着物や伝統工芸といった日本文化や、それらが影響を与えた、アールヌーボー、アールデコの様式に傾倒していたので、ひと目見て好きになりました。

今回の個展は、10年振りの開催ということで、ほとんどが初めて目にする新作でした。画家のビジョンは、より深遠な内面に向かっているように感じられました。その中に1点だけ、2007年に出会った絵《観音》が展示されていました。この絵に出会わなかったら、今頃私はきっと違う人生を歩んでいたと思います。大学に再入学して美術史を学ぶことも、自分が再び絵を描くことも、ここから始まりました。はからずも原点に立ち返ることができ、本当に「芯禄」を得たようでした。

下の写真は、今回の個展に出品されていた《白鷺/Hakuro》という作品です。「白鷺は塵土の穢れを禁ぜず」白鷺は泥の中にあっても白さは汚れないことから、本質はどのような状況においても揺るがないというたとえだと、作家さんから教えていただきました。ちょうどこの日、個展の会場に向かう移動中に、ヘルマンヘッセ『シッダールタ』(釈尊が悟りを開く以前のお話)を読んでいました。苦行で、シッダールタが鷺と一体化するシーンがあり、この絵のイメージと一致していたので驚きました。
精進せよ」ということかな…。

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posted by mihoko at 20:31| Comment(0) | 展覧会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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